ANB

SINA SUIEN 2022 collection 「刺繍百花子」

2022.02.09-2021.02.20
/
6F STUDIO 1
EXHIBITIONS

刺繍アーティスト有本ゆみこが手がけるブランド「SINA SUIEN」
1日限り・完全招待制のショーで発表された衣装や造形物、写真を一挙に展示

デザイナー有本ゆみこが、デザインから素材選び、縫製、手刺繍まで全てをひとりで手がけるブランドSINA SUIEN。2009年にブランドを立ち上げて以来、刺繍を中心に、表面的な身体装飾としての衣服ではなく、着用者の心身と周りの空間、衣服の構造、素材が経てきた時間までも巻き込んだ総合的な衣服づくりを目指し、発表を続けています。

2021年12月、3年ぶりとなるSINA SUIENの新作発表会「刺繍百花子」がCPK GALLERY(東京・浅草橋)で開催されました。完全招待制で開催されたこの発表会は、脚本・演出を小説家の舞城王太郎氏が担当し、俳優、歌手、オーナーシェフ、モデルなど、それぞれに独自の道を貫く作り手たちとの対話を経てSINA SUIENが手掛けた衣装を纏って登場し、詩を朗読しながら、「刺繍百花子」という物語を繰り広げるというものでした。2018年からSINA SUIENの世界を撮影し続けている写真家の佐内正史氏が出演しながら同時に即興撮影を担い、それらは随時スクリーンに映し出されました。30分間にわたる発表は、見る者の頭脳を戸惑わせながらも感性に強く訴える表現となりました。

本展では、「刺繍百花子」で発表されたすべての衣装の展示、ならびにSINA SUIENのオーダーメイド特別受注会を開催致します。会場では、「刺繍百花子」の物語のために制作した造形物と小道具の展示や佐内氏による写真を併せて紹介し、一日限りの発表会の空気をご覧いただけます。

また会期中の2月13日(日)には、作家・漫画家の小林エリカ氏を迎え、有本とのトークイベントを開催致します。

是非この機会に会場に足をお運びください。

新作発表会「刺繍百花子」(招待制)
開催日:2021年12月19日
会場:CPK GALLERY
(東京都台東区柳橋)
新作発表会「刺繍百花子」
新作発表会「刺繍百花子」
新作発表会「刺繍百花子」

新規オーダーメイド受注や舞城王太郎による詩集の限定販売も

会  場|ANB Tokyo 6F(港区六本木5丁目2-4 )*六本木駅から徒歩3分
会  期|2022年2月9日(水)~2月20日(日)
開館時間|11:30~19:30(2月13日(日)のみ11:30~17:00)
入  場 料|無料
※本展は感染予防対策のため完全予約制です。

【予約サイトURL:https://reserva.be/100hanako2

※すでにhttps://reserva.be/100hanakoでご予約いただいた方は予約完了となっておりますのでご予約のお時間にご来場ください。

主催・制作|ANIMA&COMPANY Co., Ltd.
展示内容|「刺繍百花子」衣装 全13体展示、特殊造形物の展示販売、SINA SUIEN新作商品と過去商品の販売、写真の展示、書籍販売&新規オーダーメイド受注受付

● 新規オーダーメイド受注
会期中、30名限定でオーダーメイドの受注を受け付けます。会期中に会場にお越しいただき、1時間程度の打ち合わせをして制作の流れを決めます。制作の流れはこちらをご参考ください。
http://sina1986.com/order-made-2/

※参加方法は「予約・お問い合わせ」をご覧ください。会期中の下記時間帯でオーダーメイドのご予約を受け付けます。

①12:30~13:30 / ②14:00~15:00/ ③15:30~16:30/ ④17:00~18:00/ ⑤18:30~19:30(2月13日は①②③のみ)

● 書籍販売
発表会でモデルを兼ねる出演者が朗読した本『詩集百花子』を会期中にかぎり限定販売します。

『詩集百花子』(プロトタイプ版・著者直筆サイン入り)
著者:舞城王太郎
制作:ナナロク社
価格:2,200円(税込)

有本ゆみこ×小林エリカ「それぞれの視点から見た刺繍百花子」

観客として12月の発表会を目撃したひとりでもある作家・漫画家の小林エリカ氏を迎え、有本とのトークイベントを開催致します。参加方法は現地観覧(定員10名)とYouTube配信です。ご来場がかなわない方は是非、配信をご視聴ください。

日  程|2022年2月13日(日)
時  間|18:00~19:30(17:45 受付開始)

① 現地観覧|1,650円(税込)/ 定員10名
参加方法は「予約・お問い合わせ」をご覧ください。定員に達し次第、受付を終了致します。

②配信視聴
SINA SUIEN公式YouTubeチャンネルから配信予定
【YouTube URL:https://youtu.be/jCtwVf5CfXE

入場方法・お問い合わせ

本展入場は、感染予防対策のため完全予約制です。

【予約サイトURL:hhttps://reserva.be/100hanako2

※すでにhttps://reserva.be/100hanakoでご予約いただいた方は予約完了となっておりますのでご予約のお時間にご来場ください。

 

本展に関するお問い合わせ・オーダーメイド予約・トークイベント現地観覧申込は以下宛先にお問い合わせください。

【お問い合わせ先:press@sina1986.com(担当:増崎真帆)】

本展に向けて

SINA SUIENは、一点物の衣服を作るブランドとして、商品や衣装の制作に関わるすべての行程を一人で行ってきました。

新作のテーマは、「刺繍百花子」の出演者本人が着たい服です。SINA SUIENがひとりひとりと対話を重ね、オーダーメイドでデザイン、制作しました。そして大切な仕上げとして、出演者の皆様に「花」を捧げる想いで刺繍を施しました。男性の出演者に仕立てたのはフルオーダースーツです。ビスポークテーラーの「Bespoke H&Sons」の縫製職人やパタンナーの指導を受けながら、SINA SUIENでデザインとパターンを行い、仕立てを委託しました。女性たちが着たワンピースやドレスシャツの縫製は職人に委託しましたーー13人誰ひとり、左右対称の身体を持つ人はいませんでした。それぞれの身体に似合う素材、デザインとパターンを探りながら、皆の身体が各々の生活のなかで形づくられていることに想いを馳せました。5度目となる、ビスポークシューズの「La Rificolona」との共作は、刺繍を施したブーツやサンダルなど5点。ニットブランドの「SAKI TANAKA」とは、ハンドニットタイを共作で1点作りました。特殊造形衣装は、その専門の作家と共作で作りました。

新作発表に向けて、得意なこと、苦手なこと、自分にしかできないことを見つめ直し、より良い制作方法を模索しました。そして、これまでの人生からは想像がつかないほど多くの方々と共作をし、手助けを受け、目標を共有しました。

発表会の演出と脚本は小説家の舞城王太郎さんにお願いしました。2018年からSINA SUIENの世界を撮影して下さっている写真家の佐内正史さんを通じて、舞城王太郎さんに発表会の構想をお伝えし、実現したものです。

学生の頃、佐内正史さんの「女生徒」の写真が表紙に使われている「阿修羅ガール」という小説で舞城王太郎さんの世界に初めて触れました。それ以来、佐内さんと舞城さんの作品が私にとってお守りのような存在でした。お二人の作品は、日本の芸術の歴史の遺伝子があるのに自由だと感じるから、私にとって特別です。

お二人と2021年5月から「刺繍百花子」とはどういう発表であるべきかを話し合ってきました。その中で私は、作り手としての心構えや覚悟を教わりました。なにかを創造する時に妥協してはいけないラインがあること。それは人に決められるものではなく、すべて自分の責任、自分の基準であること。作ることは孤独であること。
そして長期的な制作期間中具体的な目標はなるべく設定せずに“刺繍百花子の究極のあるべき姿とは”を定期的に検証しました。
迷った時は、わからないこと、想像つかないこと、無駄そうに感じること、を重要視し選択しました。

「刺繍百花子」は、単なる奇をてらったファッションブランドのショーでも朗読劇でもありませんでした。
文学、写真、衣服、演技、光、音楽、異なる分野で最大限のパフォーマンスを目指す孤独な作り手が、それぞれの責任を負って創造するものが、立体的に交差する瞬間の煌めきのように私には感じられたのです。

本気でものを作り、責任を持ち、協働している相手を信じ、自身の立場と視点をもって思考し、工夫し、力を合わせたその時起きたこと、それはー1日の中でほんの数時間だけ開いた扉と外界から閉ざされた空間の、物語を中心にうずまく芸術の連鎖でした。

今回の展示で、その物語と煌めきの片鱗を来場者のかたに体感いただけることを心から嬉しく思います。

 

(SINA SUIEN デザイナー・有本ゆみこ)

PROFILE

● 有本ゆみこ
刺繍アーティスト/SINA SUIENデザイナー
奈良生まれ。
2009年より「sina」としてブランドをスタート。
2014年の春夏コレクションにてMercedes-Benz Fashion Week TOKYOに初参加。
2015年よりブランド名を「SINA SUIEN」に改名。
展覧会、コレクションの発表、衣装制作、マンガ執筆などで活動中。SINA SUIEN公式ホームページ:http://sina1986.com/

● 佐内正史 
日本の写真家。
1997年写真集「生きている」でデビュー。
2003年写真集「MAP」で木村伊兵衛写真賞を受賞。
2008年に独自レーベル「対照」を立ち上げて写真集を発表し続けている。最近の写真集に「銀河」「Summer of the DEAD」、2022年写真集「写真の体毛」都内の中心で制作中。
2021年夏、GEZANマヒトゥザピーポー監督の映画「iai」初の映画撮影撮了。
2021年秋、曽我部恵一とのユニット”擬態屋”で1stAlbum「DORAYAKI」をリリース。佐内の詩と曽我部の音合わせブレンド作品。
2021年冬、SINASUIEN新作発表会「刺繍百花子」に舞城王太郎と共に参加。
2022年、舞城王太郎との共著「詩集百花子」制作中。舞城とは「深夜百太郎」以来七年ぶりの合作となる。

● 舞城王太郎
福井生まれ。2001年『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビュー。03年『阿修羅ガール』で第16回三島由紀夫賞を受賞。他の著書に『熊の場所』『好き好き大好き超愛してる。』『九十九十九』『ディスコ探偵水曜日』『短篇五芒星』『キミトピア』『JORGE JOESTAR』『淵の王』『深夜百太郎』など。『バイオーグ ・トリニティ』や『月夜のグルメ』などの漫画原案や『コールド・スナップ』(トム・ジョーンズ)の翻訳を手掛け、アニメ『龍の歯医者』『ID:INVADEDイド:インヴェイデッド』の脚本に携わる。今回初のファッションショー演出。今回朗読に使用した詩集は今年ナナロク社より出版予定。

● 小林エリカ
作家、マンガ家
著書は小説『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社)、『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(第7
回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞)、『マダム・キュリーと朝食を』(第27回三島賞・第151回芥川賞ノミネート)(共に集英社)、放射能の科学史を辿るコミック「光の子ども1~3」(共にリトルモア)などがある。
テキストをもちいたインスタレーションも手掛け、 主な展覧会は個展に「 His Last Bow」(Yamamoto Keiko Rochaix、ロンドン)、「野鳥の森 1F」(Yutaka Kikutake Gallery、東京)、グループ展に「りんご前線-Hirosaki
Encounters」(弘前れんが倉庫美術館)、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(国立新美術館、東京)など。