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アーティストの視点で「感性の遊び場」を紐解くトークシリーズ

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制作の背景や、展示の見どころを、座談会形式で紹介

ANB Tokyoで開催中の「感性の遊び場」(英:Playground for the Senses)の関連プログラムとして、このたび、本展参加作家9名のアーティストトークを公開します。

展示作品の前で作家本人がコンセプトや制作プロセスについて語ったショートムービーのほか、企画者の三木茜と作家による座談会形式のトークを収録しました。

お互いの作品や制作に対する素朴な疑問から、本展のキーワードからどんな展開を考えたか、展示空間で意識したことなど、さまざまなトピックについて語っています。

展覧会をご覧になった方、これから来場を考えている方はもちろん、遠方で来場が難しい方も、展覧会の様子を感じていただける充実した内容のトークシリーズ。ANB Tokyo 公式YouTubeチャンネルより、どなたでもご視聴可能です。是非ご覧ください。

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Vol.1
参加作家|永井天陽、臼井達也、石場文子
モデレーター|三木茜

Vol.2
参加作家|長田奈緒、藤田紗衣、石毛健太
モデレーター|三木茜

Vol.3
参加作家|久保田沙耶、鈴木基真、斉藤思帆
モデレーター|三木茜

ARTISTS

アーティストトーク vol.1
永井天陽、臼井達也、石場文子

  • 永井天陽|Solaya Nagai
    1991年埼玉県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コース修了。ものや出来事へのささやかな疑いをきっかけに、人が無意識に抱いている感覚や常識、認識への問いをテーマとしている。アクリル材、剥製、既製品など様々な素材を用いて、ものを認識するための境界が多重に存在する彫刻作品を制作。近年は、工業製品の製造過程に用いられる技術や、大量生産されている安価な素材などに着目し、作品へ取り込む試みを続けている。自身の感覚的な要素に対し、どのような素材・技術を掛け合わせることで「まだ誰も見たことがないもの」を形作れるのか、表現の探求を続けている。主な個展に「ぬるまるつぼ」HARMAS GALLERY(東京、2021)、「フープとホール」THE POOL(広島、2021)。グループ展に「でんちゅうストラット—つながる彫刻—」平櫛田中美術館(東京、2021)、「群馬青年ビエンナーレ2021」群馬県立近代美術館(群馬、2021)など。
  • 臼井達也|Tatsuya Usui
    1997年東京都生まれ。2022年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程情報デザイン領域修了。ECサイト上に表示される商品の参考イメージなど、偶発的で所有権が曖昧なモチーフを基に制作活動を行う。Amazonの自社ブランド製品のみで構成するインスタレーション「Amazon Basics」シリーズをはじめ、インターネット上のイメージとオブジェクトの関係性、そしてその影響から免れることのできない、潜在的にコントロールされた消費行動を観察しながら、今日の既製品芸術を表現している。これまでの主な展示に「KUMA EXHIBITION 2022」ANB Tokyo (東京、2022)、「震動するインターネットゾンビ」北千住BUoY(東京、2022)「多層世界の歩き方」NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東京、2022)、「エクメネ」BLOCK HOUSE (東京、2020)など。
  • 石場文子|Ayako Ishiba
    1991年兵庫県生まれ。京都嵯峨芸術大学造形学科版画分野卒業後、愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画・版画専攻修了。視覚情報から得る認識の問題を追求し、日本画から版画、そして写真へと表現素材や技法を横断しながら制作を続けている。被写体の輪郭線を、黒いペンで直接なぞり描き、写真を撮る「2.5」「2と3のあいだ」シリーズをはじめ、近年ではさらに画面のなかに額縁を含み、視覚構造を複層化したシリーズや、映像・コラージュ作品など、扱う素材の幅を広げてきた。主な​個展に「Shuttle Run 2022」ARTDYNE(東京、2022)、「不在(ない)と存在(ある)」3331 Arts Chiyoda(東京、2021)。グループ展に「あいちトリエンナーレ 情の時代」愛知県美術館(愛知、2019)「LIMIX MEETS BEYOND2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #7」IMA Gallery(東京/パリ/アムステルダム、2019)など。

アーティストトーク vol.2
長田奈緒、藤田紗衣、石毛健太

  • 長田奈緒|Nao Osada
    1988年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。包装紙や乾燥剤といった身近にある「取るに足らないもの」の表面的な要素を、シルクスクリーンなどの複製印刷技術を用いて木材やアクリル板といった元々の状態とは異なる素材の表面にプリントした作品を制作している。長田の作品は、日常では見落とされるようなモチーフが、あえて丁寧かつユーモアを帯びて演出され、鑑賞者に「見る」だけではなく、「見つける」「観察する」ことを促す。主な個展に「I see…」NADiff Window Gallery(東京、2022)、「大したことではない(なにか)」Maki Fine Arts(東京、2020)、「息を呑むほどしばらく」Open Letter(東京、2018)。グループ展に「Shibuya Hikarie Contemporary Art Eye Vol.15 3人のキュレーション:美術の未来」渋谷ヒカリエ CUBE(東京、2021)、「描かれたプール、日焼けあとがついた」東京都美術館(東京、2020)など。
  • 藤田紗衣|Sae Fujita
    1992年京都府生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画修了。ドローイングを起点に、シルクスクリーンやインクジェットプリントなどの複製印刷技術を用いて制作。辿り着きたいイメージを分解・逆算し、版によって描く行為自体を再解釈している。ドローイングを、コンピュータ上で文字・記号に自動変換するソフトウエアを用いてAA(アスキーアート)に変換し、シルクスクリーンで陶に刷ったり、手のひらサイズのドローイングを拡大して出力したりするなど、版を介した工程を経て作家の直接的な「手あと」が取り除かれ、描かれたイメージは時間や作家の身体のスケールを超えていく。主な展示に「惑星ザムザ」小高製本工業株式会社跡地(東京、2022)、「藤田紗衣と佐貫絢郁の移動式菜園ハウス」yuge(京都、2022)LVDB BOOKS(大阪、2022)、個展 「ハード/ソフト」I SEE ALL(大阪、2021)準備中(東京、2021)など。
  • 石毛健太|Kenta Ishige
    1994年神奈川県生まれ。多摩美術大学卒業後、東京藝術大学大学院修了。美術家、エキシビションメーカー、他多数の「副業」を実践する石毛は、都市や郊外に滞在しながら、作品、キュレーション、リサーチなどの領域を横断しながら活動する。ディレクションした「working/editing 制作と編集」アキバタマビ21(東京、2020)では、制作の過程に生じる、作品未満の日常・あるいは一時的な別の形の存在を作家の「編集物」と呼び、石毛本人を含む4名の作家の作品と編集物を併せて発表。最終的に物質として結実した作品に付随する無数のバリエーションの存在や、変化の可能性を示唆することを目指した。その他の展覧会に「ニューグラウンド」The 5th Floor(東京、2021)、「アイオーン」BIYONG POINT(秋田、2020)、プロジェクトに「SCAN THE WORLD」、「インストールメンツ」、「Urban Research Group」など。

アーティストトーク vol.3
久保田沙耶、鈴木基真、斉藤思帆

  • 久保田沙耶|Saya Kubota
    1987年茨城県生まれ。筑波大学芸術専門学群構成専攻総合造形を卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修士課程修了、同科博士号取得。考古遺物や骨董、漂流物などを観察し、それらに付随する無名の物語を立体作品、ドローイング、インスタレーションで発表する。モノから物語を抽出し、素材に語らせるまでの過程に、久保田自身が旅先で出会った人々とのエピソードや「美しい」と感じる感情が介入している。それは、科学的価値観が浸透した現代の人間社会とは別の、古から脈々と連なる愛着や信仰といった、根源的なモノと人との距離感を再提示する試みでもある。主な個展に「人はなんていうの」HARMAS GALLERY(東京、2020)「Material Witness」大和日英基金(ロンドン/英国、2016)、「鹿を歯医者に連れて行く」Island MEDIUM(東京、2015)、継続するプロジェクトに「漂流郵便局」(香川県、瀬戸内国際芸術祭2013〜)など。
  • 鈴木基真|Motomasa Suzuki
    1981年静岡県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。幼い頃に見ていたアメリカ映画に影響を受け、平面のイメージを基に彫刻作品を制作。映画のなかのワンショットのようなイメージを発端にして、壁→屋根→窓と形を連ねるようにして小さな世界を立像化する。カメラ特有の光学的歪みを含んだパースと細部の造形が特徴的な木彫作品は、高さのある台座を組み合わされ、均質な縮尺模型の眺望とは決定的に異なるイメージと彫刻の間を揺れる新しい作品形態を生み出している。また近年は塑像を撮影しライトボックスに仕立てたシリーズ「Ghost」を展開。主な個展に「クリエイションの未来展 第13回 清水敏男監修 鈴木基真展 MOD」LIXILギャラリー(東京、2017)、「wall, roof, window」Takuro Someya Contemporary Art(東京、2016)グループ展に「部屋と庭 隔たりの形式」武蔵野美術大学(東京、2020)、「TSCA Collection | Foresights and Flow」Takuro Someya Contemporary Art(東京、2019)、「未完の庭、満ちる動き」国際芸術センター青森(青森、2018)など。
  • 斉藤思帆|Shiho Saito
    1988年東京都生まれ。武蔵野美術大学大学院美術専攻版画コース修了。現代の、日常的に画面上で目にする視覚情報と、物質としての作品の在り方を探求し、和紙を支持体にアクリルペインティングやシルクスクリーンを用いた作品を制作している。投稿内容が一定時間を経過すると消えるエフェメラル系SNSや、ランダムに表示される広告などをもとに描く斉藤の作品は、元のイメージが保持していたコンテクストが剥ぎ取られ、既視感と違和感を併せ持ったイメージを作り出す。主な個展に「か な た」一条法華寺(東京、2022)「at last」jikka(東京、2014)など、グループ展に「Maps」Cité Internationale de Paris (パリ/フランス、2022)「一方そのころ」KAYOKOYUKI (東京、2019)など。また2019年より、田岡美紗子と始めたユニット・プロジェクト「The Goodwiller」としても活動する。

CURATOR

  • 三木茜|Akane Miki
    ANB Tokyo アソシエイト・ディレクター/一般財団法人東京アートアクセラレーション

    1989年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジMFAキュレーティング修了。一般社団法人アート東京で「アートフェア東京」、アートアワードの運営事業などに携わる。2018年より「あいちトリエンナーレ2019」国際現代美術展アシスタント・キュレーターとして従事したのち、2020年より現職。六本木のアートスペース ANB Tokyoにて展覧会企画・運営等を行う。

ABOUT EXHIBITION

出展作家|石毛健太、石場文子、臼井達也、長田奈緒、久保田沙耶、斉藤思帆、鈴木基真、永井天陽、藤田紗衣

会  期|2022年8月14日(日)~9月19日(月・祝)
会  場|ANB Tokyo 3F及び4F
住  所|港区六本木5-2-4(六本木駅から徒歩3分)
開催時間|木・金 13:00~19:00、土・日・祝 11:00~18:00
休  館  日|月・火・水(祝日の場合は開館)
入  場  料|一般/500円(税込) ※オンライン事前決済/400円(税込)
学生入場無料 ※学生証要提示
障がい者手帳等お持ちの方及び介助者1名まで入場無料 ※障がい者手帳要提示

主  催|一般財団法人東京アートアクセラレーション
協  力|galerie lieu lieu、HARMAS GALLERY、Maki Fine Arts、Takuro Someya Contemporary Art
企  画|三木 茜(ANB Tokyoアソシエイト・ディレクター)
会場設計|GROUP
キービジュアル制作|藤田紗衣